
「相続した不動産を売りに出したいけど、どうやって売却すればいいのかわからない」と悩んでいませんか。本記事ではそんな人のために、相続した不動産を売却する際の流れや必要書類、注意点などをまとめて解説します。この記事で紹介する内容を参考にして、ぜひ不動産の売却を成功させてください。
相続した不動産を売却する際の流れ
相続した不動産を売却するには、いくつかの手続きと期限を順を追って進める必要があります。相続が発生した際は、まず遺言書の有無や遺産、債務の内容を確認し、相続するか放棄するかを決める必要があります。この判断は、相続開始を知った日から3か月以内に行わなければなりません。相続放棄や限定承認といった手続きもこの期限内に済ませる必要があります。
次に、被相続人の死亡した年の所得について「準確定申告」を相続開始の翌日から4か月以内に行います。そして相続税の申告と納税は、相続開始の翌日から10か月以内に行う必要があります。これらの手続きは期限が定められているため、早めに準備を進めることが重要です。不動産の売却には、まず名義変更(登記)が必要です。遺言書があればその内容に基づいて、ない場合は相続人同士で遺産分割協議を行い、名義人を決定します。
遺産分割協議には特に期限はありませんが、売却や納税をスムーズに進めるためにも、早めの合意形成が望まれます。名義変更後は、不動産会社への相談、物件の査定、媒介契約、買い手の募集、売買契約、引渡しといった売却手続きが必要となり、完了までにおおよそ6か月程度かかるのが一般的です。また、相続税を不動産の売却代金で納税する場合は納税期限である10か月以内に現金化が必要になるため、逆算して行動することが大切です。
相続した不動産の売却に必要な書類
相続した土地や一戸建て、マンションなどの不動産を売却するには、まず名義変更の手続きを行う必要があります。名義変更の方法には「法定相続」「遺言による分割」「遺産分割協議による分割」の3種類があり、それぞれ必要な書類が異なります。共通して求められる書類としては、被相続人の戸籍謄本(10歳前後から死亡までのすべて)、除住民票、相続人全員の戸籍謄本および住民票、固定資産税評価証明書などです。
また、任意ではありますが、相続関係説明図を添付すると手続きがスムーズになることでしょう。遺産分割協議による場合は、相続人全員の実印が押された遺産分割協議書と印鑑証明書も必要です。遺言書が自筆である場合は、法務局に提出する前に家庭裁判所で検認を受ける必要があります。不動産を売却する際には、名義変更の完了後、売却手続きに必要な書類も多数用意しなければいけません。
これには登記簿謄本、売買契約書、重要事項説明書、登記済権利書または登記識別情報、土地測量図・境界確認書、固定資産税評価証明書、物件図面、設備の仕様書、建築確認済証、検査済証などがあります。また、物件の種類(マンション・一戸建て・土地)によっても異なります。とくに境界が曖昧な土地では事前に測量が必要となる場合があるため、早めの準備が大切です。
さらにマンションの場合は、管理規約や修繕積立金などの維持費関連書類も必要です。買主に物件を引き渡す際には、本人確認書類、実印、印鑑証明書などのほか、場合によっては住民票や銀行口座情報も求められます。また、物件購入時の契約書や金額がわかる書類を保存しておくことで、譲渡所得に対する税金の申告時に特例を利用できる可能性があります。書類の紛失などが不安な場合でも、不動産会社がサポートしてくれるため、早い段階で相談することが大切です。
相続した不動産の売却をする際の注意点
相続した不動産を売却する際は、いくつかの重要な注意点があります。まず、不動産登記簿上の名義変更(相続登記)を行わなければ売却はできません。相続人が複数いる場合は遺産分割協議書を作成し、誰が売却するか明確にする必要があります。
次に、売却によって譲渡所得が生じた場合には譲渡所得税が課されますが、相続財産である土地・建物の取得費は被相続人の購入時点の価格を引き継ぐため、場合によっては高額な税負担となることもあります。これを軽減するために「取得費加算の特例」や「相続空き家の特例」などが利用可能です。とくに空き家を売却する際は、建物の状態や地域の需要も価格に影響するため、早めの対策や専門家への相談が推奨されます。
まとめ
相続した不動産を売却する際には、相続の手続きや名義変更、税務申告など、複雑で期限のある手順を着実にこなす必要があります。とくに、相続放棄や準確定申告、相続税の申告にはそれぞれ明確な期限があるため、早めの対応が重要です。また、売却にあたっては多くの書類を準備しなければならず、名義変更後には不動産会社への相談から売却契約・引渡しまで時間がかかります。さらに、譲渡所得税や税務上の特例、土地の境界やマンションの管理規約など、状況に応じた注意点も多岐にわたります。これらを踏まえ、相続した不動産を円滑に売却するためには、全体の流れを理解したうえで専門家のサポートを受けることが成功のカギです。正しい知識と準備が、後悔のない売却につながります。